2007年12月 社長挨拶

2007年12月 (社員向け)月例社長メッセージ

南米雑考 ─新興国と日本─

今年の10月に、当社の今後のグローバル戦略のリサーチの一環として、ブラジル、アルゼンチンの視察を行ってきま した。当社のグローバル戦略は、「顧客企業である日本の製造業のグローバリゼーションに対応していく方針」なので、今すぐに、当社が南米で事業を行うとい うわけではありません。しかしながら、「BRICs(ブリックス=ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字をつなげ、21世紀に大きく経済成長が見込まれ る国の総称)」ということが言われるように、これから急速に経済発展する新興国の状況は、日本の企業としても、関心を払うべきだと考えています。

私は、海外に行くと、公式にはJETRO(日本貿易振興機構)や日本の商社の皆さんから包括的な情報提供をしていただいたり、日系メーカーの工場視察など をさせていただきますが、時間の許す限り、現地のショッピングセンターやスーパーマーケットを見たり、現地の人々の日常生活を見させていただくようにして います。そうした視点から感じることは、少なくとも経済の面では、確実に世界は一つになりつつあるということです。ブラジルでもロシアでもベトナムでも、 新興国と言われる国に最近できた大型のショッピングセンターの中にいると、そこがどの国かわからなくなります。つまり、どの国でも、同じようなブランドの 店がならび、同じような商品が同じような価格で売られているということです。もちろん、日本のように一般庶民のすべてが購買層というわけではありません。 購買層はまだ限られているのも実態です。地方に行けば、文明から隔絶されたような、まったく別の風景が残っているのも事実です。しかしながら、購買力さえ あれば、どこの国に行っても同じようなファッションや電化製品や自動車を欲する人たちがいるということです。携帯電話は、どこの国でももはや必需品です。 これが、企業の世界的なマーケティングの成果なのか、インターネットを中心に、ほぼリアルタイムで世界の情報が共有されるようになった結果、人々のライフ スタイルの均一化が起きていることなのかはわかりませんが、事実として起きつつあることとして認識すべきだと思います。つまり、先進工業国だけが最先端の 文明社会になっているわけではなく、社会全体に対する普及度の違いはあるものの一定の経済レベルに達すれば、世界の人々が、ほぼ同じように文明化された生 活を送るようになりつつあるという事実です。

同時に、行く先々で、日本の工業製品に対する信頼性、つまりブランド力も改めて実感しました。自動車にしても、電化製品にしても、日本製品は「高級品」と して認識されている国がほとんどです。ブラジルのアマゾンの原野の真ん中に位置する工業都市であるマナウスのショッピングセンターでも、家電製品売り場の 真ん中に日本メーカーの液晶テレビが陳列してありました。価格は関税の影響で、日本よりも30%ほど高めでしたが、ブラジル人の購買欲を刺激しているよう でした。あるいは、ブラジルでは日本車は高級車という区分のせいか、日本で大衆車として売られている小型車の内装が、すべて革張りでした。アルゼンチンで は、ショッピングセンターの一角に、ある日本のエレクトロニクスメーカーのデジタルカメラやビデオカメラの直売ショップがあり、他のメーカーとは一線を画 す販売を行っていました。また、ジャパン・クール(「日本文化がかっこいい」という意味)ということばが世界的に流行しているように、先進国だけでなく新 興国でも、日本のアニメが放映され、キャラクターグッズが販売されています。日本食もブームで、モスクワには地元人でにぎわう日本食店もあり、一昔前の 「日本食のようなもの」ではなく、ちゃんとした寿司やてんぷらが出てきます。

日本から見て、地球のちょうど反対側にあるブラジルは、地理的には遠い国です。今でも飛行機を乗り継いで、まる2日の移動時間がかかります。われわれ日本 人がブラジルのことを知らない以上に、日系人以外のブラジル人は、日本のことをほとんど知りませんし関心もないようです。しかしながら、日本の工業製品や アニメは人気がある、という状況です。一方で、日本では、海外からの労働力の受け入れについて、まだまだ多くの障壁があり、人と人との相互交流は、必ずし も十分ではありません。日本がグローバルな社会で持続的に発展していくためには、製品や文化だけの交流ではなく、人と人との交流が欠かせません。中長期的 には、もっと多くの海外の人々と、われわれ日本人が交流をしていかない限り、日本の経済社会全体が維持できなくなっていくことは自明です。メイテックグ ループが取り組んでいるブリッジエンジニア事業が、こうした人的交流の一助として、日本の産業社会全体に対する貢献につながっていくことを遠く離れたラテ ンの国で改めて実感しました。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介

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