電気・電子系エンジニア 藤井 公太さん

●プロフィール
2000年 新卒入社、半導体集積回路のプロセス技術開発・生産技術

10年間、半導体製造技術と格闘して。
短距離ランナー、マラソンの醍醐味と出合う。

数ヵ月で半導体工場を立ち上げた。
生産技術の難しさを知った。

学生時代は、インターハイに出場したこともある短距離ランナー。その当時は正直、マラソンをする人の気が知れなかったという。「それがなぜか、私自身の仕事がマラソンのようになってしまいました」。入社して最初に派遣された半導体メーカーの生産技術部門での業務は、延べ10年目を迎えた。

「最初に派遣されたときは、何も分からず単に指示に従って動いているだけでした。仕事の仕方も、受け身だったのかもしれません。それが、大きく変わったのは3年目、ビッグプロジェクトの一員に加えられたときだと思います」

短期間で、ゼロから新しい半導体工場を立ち上げる。その工場で、どのような製品を作るか、から始まって、そのために、どんな製造装置を選定するか。そして、その装置をどんな条件で活用するのか。生産技術の立場から、計画を実現に向けていく。

「お客さまの全社を挙げたプロジェクト。期待も責任も大きい仕事である一方で、私が参加したときには稼働まで10ヵ月しか残されていませんでした」

当時、半導体プロセス技術開発は本社の開発部門でするもので、工場では行わなかった。だがそのときは、短期間で新工場を立ち上げるため、技術開発から製造への展開までを藤井さんたちが担当することに。設計開発部門とも密接に連携した。問題点が生じたときには、装置メーカーと膝を突き合わせて議論した。全てが待ったなし。大変なプレッシャーの中、アウトプットを迫られた。

新工場が立ち上がったのが2004年。

その後も藤井さんは生産技術とプロセス技術開発の両方を担当。プロセス技術開発を工場で行う世の流れもあり、量産前の新たな開発製品がつぎつぎと持ち込まれてくる。それに応えて立ち止まることなく、走り続ける。それはまさしくペース配分に苦心するマラソンレースそのものだった。

半導体製造に誰よりも詳しい、
知識を活かして
再度契約を獲得した。

2009年、藤井さんの契約は終了し、復帰した。世の中のニーズを考え、回路設計業務に就くための準備を始めていた。だが、期せずして、派遣されていた半導体メーカーから再び声がかかったのは2010年1月のことだった。

「生産技術のプロジェクトは

(1)品質向上
(2)コスト削減
(3)納期短縮

に大別されます。このQCD(クオリティ・コスト・デリバリー)のコストにターゲットを絞り、メイテックチームでプロジェクトを立ち上げてほしいというものでした。プレゼンテーションにあたり、お客さまの考え方や仕事の進め方について、よく知っているということで営業担当者から意見を求められました」

以前からの知識に加え、このような体制を組んだら目的を実現できるのではないかという、藤井さんの考えを入れた提案書を営業担当者とともに作成した。このことが、お客さまのニーズとも合致し、5、6社の競合の中から契約を獲得。藤井さん自身も9人からなるチームのリーダーとして再度派遣されることになる。

生産の各プロセスを徹底的に見直して、コストメリットを追求する。この目的のためにメイテックだけでチームを組むことも、目標値が課せられた成功報酬型の契約ということも、お客さま、メイテックともに新たな試みだった。そして同時に、藤井さんにとってもチームのマネージメントの仕事は、新しい挑戦となる。

「以前は限られたプロセスに関わっていればよかったのが、半導体製造の全プロセスに守備範囲が広がりました。それぞれの工程で実験や評価を行い、データの裏付けをもって、工程改善を提案していかなくてはいけない。一通りの対策は既に行われていますから、新たな発想が必要です。私自身はこのお客さま先での経験しかない。ここをよく知っている一方で、考え方がかたよっているかもしれない。幸い、今回は他社の経験を持つエンジニアが2名、サブリーダーとして加わってくれたので、いいバランスのチームになりました」

メイテックとしても、
新しい試みのなか、
将来へのステップアップを考える。

目に見える成果を出さなくてはいけないということは、どんな現場でも同じかもしれない。しかし結果が毎日数字として突きつけられる緊張感は大変なものだ。

「チームに課されている目標数値はコスト削減額とそのための改善の提案件数。このアウトプットに対するプレッシャーがないといったら嘘になります。一方で、お客さま先の担当者から『メイテックさん頑張っているね』と、数字をもとに評価していただくのはうれしいですね。個人ではなくチームとしてのメイテックへの期待も感じています」

入社以来、一貫して生産技術の領域でキャリアと向き合い、その幅を広げてきた。再び、生産技術の領域で機会を得て、この経験を将来へのステップにしていきたいと考えている。

「復帰し、いろいろなエンジニアと話をして、一社しか経験がない自分はなんて小さな世界にいたのかと感じていました。今度は設計、と思う一方で今回のお話があり、今はまず派遣に出て、その上で、次に向けて信頼を勝ち得ていくことだと考えました。結果、同じお客さまで生産技術の仕事を続けているのですが、チームとして提案していくという、これまでとまったく違う方法で取り組むことになり、『小さな世界』に新たな広がりが見えてきました。将来的には、少しずつ設計開発に近い仕事ができればいいですが、まずはここで結果を出してからですね」

最近は趣味でマラソンを始めた。学生時代には全力疾走しない走り方が理解できないと思っていたのに……。ペース配分を考えながら走るのも、ストレス解消になっていいと気付いたという。そこに一つの成長があり、エンジニアとしても、藤井さん自身の将来に向けて可能性を広げる、一つの転機があるのかもしれない。


※当社社内報「SYORYU」:2010年秋発刊号に掲載した記事です

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