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2009年6月 (社員向け)月例社長メッセージ

リバウンド受注を逃すな

4月の成約実績(配属ベース)は、すでに全社員のみなさんにお伝えしているとおりですが、受注が急減速している中 でも、これだけの成約ができたことを、まず、全社員のみなさんと分かち合いたいと思います。現状の危機を脱するためには、成約数を伸ばし稼働率を上げ、企 業としての損益分岐点(赤字にならない収益ライン)を自力で越えていくしか方法はありません。そのために、営業は必死で顧客訪問を行い、稼働中のエンジニ アは契約継続を勝ち取り続け、未稼働のエンジニアは、研修という仕事に取り組み、本社・支援等・ECの間接部門は、それぞれの業務効率化をはかり、そのす べてを成約数の向上につなげていく努力をしています。その努力の成果が、お伝えしている成約実績であったということです。

また、4月成約実績の相当数が、いわゆる「リバウンド受注」からの成約です。「リバウンド受注」とは、文字通り、ゆり戻しの受注のことです。当社のお客様 である大手製造業各社の年初から3月までのコスト削減の取り組みは、少し大げさですが、パニックにも見えるような動向でした。こうした不況下の企業の取り 組みとして、「選択と集中」ということがよく言われます。つまり、競合他社が行うから自社も行うというような総花的な事業展開をやめて、自社の事業の中 で、競合他社を圧倒し、世界市場の中で勝ち残っていける事業だけを選択して経営資源を集中させる戦略のことです。これは、選択されなかった事業の縮小や撤 退を意味するわけですから、当然、開発コストも抑制や中止となります。したがって、選択されなかった事業との派遣契約は終了へとつながっていきます。しか しながら、今次のコスト削減は、選択されなかった事業だけでなく、選択して残すと決定された事業においても、相当に厳しいコスト削減が行われました。こう した製造業各社のパニック的なコスト削減の取り組みによって、当社の稼働率が急激に低下し、4月1日現在では、配属人員ベースで約70%(新卒除く)とな りました。ここまで稼働率が低下したのは、1991年のバブル経済崩壊後の、1992年から1993年の期間以来となります。

製造業各社において、選択して残すと決定された事業は、この不況を乗り切るための戦略的な事業でもあるわけです。したがって、コスト削減が行われ、開発コ ストも抑制され、エンジニア数も制限される一方で、要求されるアウトプットや納期は変わらない、むしろ要求が高まっている場合があります。こうした場合に は、必然的に、当該事業にたずさわるエンジニアに過剰な負荷がかかります。最初は、何とかみんなでこの負荷を乗り越えようとしても、負荷が継続していけ ば、やはり思うようなアウトプットが出せなかったり、納期が守れないという事態になっていきます。要は、コストと人を削りすぎて仕事がまわらなくなってく るわけです。こうした状況から、「3月に契約終了したメイテックの『あのエンジニア』に、また戻ってほしい」というかたちで出てくる受注を「リバウンド受 注」と呼んでいます。4月に成約したリバウンド受注は、仕事がまわらないことを確認した上での受注よりは、契約終了を予定していたエンジニアを、やはり 『はずせないエンジニア』と認めていただいて戻していただいた受注の方が多い状況でした。

いずれの場合の「リバウンド受注」も、キーマンは稼働しているエンジニア自身です。彼らが、負荷の高まる業務環境の中でも、その価値をお客様に認めていた だくことによって「リバウンド受注」が出てきます。あるいは、お客様の「困っている状況」を営業と情報共有することによって「リバウンド受注」へとつな がっていきます。彼らの無言の営業努力に、心から感謝し、さらなる期待もしています。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介