2009年2月 社長挨拶

2009年2月 (社員向け)月例社長メッセージ

時代の転換期か

いよいよ、激動と危機の予感が高まる2009年がはじまりました。当社も、いろいろな意味で正念場の年になると思 います。新聞やテレビなどのメディアでは、連日のように景況悪化のニュースが流れていますが、今起きていることは、単に「景況悪化」というとらえ方でいい のか、という疑問が私にはあります。景況というのは、好況と不況の間を、行ったり来たりするものですから、景況サイクルとも言います。確かに、今の景況悪 化の局面は、景気が山から谷へと大きく下りつつある現象としても見るべきだと考えますが、果たしてその見方だけでいいのか、という疑問です。

今回の不況の端緒は、米国のサブプライムローン問題であり、いわゆる借金バブルが崩壊したことが原因だとも言われています。その結果、世界的に金融システ ムが不安定になり、信用が収縮してお金が回らなくなったことが今の不況の原因であるように言われています。では、金融システムの問題が解決すれば、また世 界的に景気は回復していくのか、日本の企業も勢いを取り戻していくのか、というと、そんなに単純に考えてはいけないのではないかと思っています。たとえ ば、薄型テレビの値段が下がりすぎたから家電メーカーの利益が出せなくなってきたという見方でいいのか、さらに言えば、自動車が、世界的に30%以上も市 場が一気に収縮するということも、不況だから、という一言で片付けていいのか、ということです。

景気が回復してきたら、また自動車がどんどん売れるようになるのかというと、どうもそうではないような気がします。自動車業界においては、ガソリン自動車 から電気自動車へという大きなモータリゼーションのうねりと不況があいまって、予想を上回る速度で市場が収縮しているのではないでしょうか。そうかと言っ て、一気にモータリゼーションの変革が進むわけではないでしょうから、低燃費・低排ガス・低価格の自動車と、次世代の環境対応型車種への切り替えがうまく できたところだけが、自動車メーカーとして生き残り、そのほかの企業は淘汰されていくのかもしれません。家電メーカーも、テレビの薄さを競い合ったり、ハ イスペックを競い合うだけでは、成熟した一部の市場しか取れず、新興国などでは、薄さやスペックではなく、安さと耐久性がポイントになっていくのかもしれ ません。そうしたボリュームゾーンを狙うのであれば、商品ブランドから再構築しなければならない必要性、必然性につながるでしょう。

当社の関係する人材ビジネス業界において起きている非正規雇用の問題なども、景況がこれだけ急激に悪化していくことを想定していなかったがゆえに、労働者 保護などの点について、法的に未整備な部分が露見したという見方もできます。非正規雇用労働者の人たちが、正規雇用労働者に比べて雇用が不安定であり、 キャリアアップ機会が少ないことは事実ですから、そうした実態を踏まえて、いかに雇用の安定化を社会的に実現するか、キャリアアップ機会を社会的に創出し ていくか、ということに国全体で向き合っていく機会にしていかねばならないと考えます。これも、100%正規雇用の労働市場にすればいいという単純な問題 ではなく、企業の存続性と雇用の安定を、いかに社会的にバランスをとっていくかという議論をすべきでしょう。そうした議論を通して、正規・非正規という対 立軸ではなく、企業と労働者の両方の視点から見た「日本の労働市場のあるべき姿」を描き出していかねばならないのではないか、と思います。

つまり、今の不況は、景気がよくなったらまた元の「景気のいい社会」に戻るのかというと、そんな単純な図式ではなく、あらゆるものがグローバルに変化して いく状況の中で、企業と個人が生き残りつつ、成長していくための新しいあり方が模索されていくのではないでしょうか。先日、あるエンジニアと話していた ら、「もし、自分が契約終了したら、今度は、じっくり自分の生き方や働き方、会社や家族との関係を考える機会にしたい」ということを聞きました。そのこと ばを聞いて、私は、多くの人が、大なり小なり、「今は時代の大きな転換期だ。その転換の方向を見据えて自分の生き方を考えなくては」ということを感じ始め ているのではないかと思いました。時代の変わっていく方向は、簡単には分かりません。その意味では、かのエンジニアのように、目先のことに一喜一憂しない で、じっくり考え続けてみる、というスタンスがいいのではないかと思います。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介

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