2007年10月 社長挨拶

2007年10月 (社員向け)月例社長メッセージ

リスクマネージメントについて

米国のサブプライムローン問題を契機に、ちょうど8月の夏期休暇のころに、世界的に株価が急落しました。投資事業 を営んでいる私の友人からは、「夏なのに冬眠したい気分だ」というメールをもらったりしました。いろいろなことが結果論的に言われていますが、低所得層向 けの過大な住宅ローン債権に返済のリスク(回収のリスク)があることは、普通に考えれば当たり前のことです。
そうした当たり前のことが見過ごされてしまうことが、今回も起きたということだと私は理解しています。

当たり前のことが見過ごされてしまうこと、これがバブルの怖さだと思います。当社も、日本経済のバブルのピークである1990年ごろには、「社員向け福 利厚生施設」として、フェラーリを数台保有し社員に貸し出していたことがあります。また、わずかな期間でしたが、会社でディスコを保有していたこともあり ます。今考えれば、趣味の悪いギャグのような話ですが、当時は、当社だけでなく、大手商社が新卒内定者を海外旅行に招待したり、証券会社の営業マンがハイ ヤーを終日貸切で営業したり、深夜に銀座でタクシーを拾うために一万円札を振りかざしたりすることなどが、普通の企業の間で行われていたものです。これが 人間心理の弱いところだと思いますが、自分の周囲が、「当たり前の社会通念」からかけ離れていき始めると、自分自身の「当たり前の感覚や価値観」を見失い 始めてしまうということです。周りが踊れば踊るほど、自分自身が取り残されてしまうような気分になり、マスコミなどで、株や債権や不動産で儲けたという話 ばかりが喧伝されると、自分もやらなければいけないような気持ちになってしまうわけです。通常、常識的な人が、「自分もやろう」と思ったころには、バブル のピークは越えたと言われています。したがって、常識的な人であるほど、自分の常識をねじふせてバブルの渦中に入った途端にバブルが崩壊して痛い目に合う というパターンになるわけです。

日本においては、1990年にバブル経済が崩壊したあとも、2001年にITバブルが崩壊し、今回またサブプライムローン問題に端を発したマネー・バブ ルが崩壊したわけです。歴史的に見れば、過去数百年にわたって世界中で何度も何度もバブルが膨れ上がり崩壊してきているにも関わらず、依然としてそれが繰 り返されています。そういう視点で見ると、人間に欲望があるかぎり、常にバブルは起きると考えた方がよさそうです。そうであるならば、いかにバブルの崩壊 から自分を守るかを考えることが、個人にとっても会社にとっても重要です。たとえば、当社の営業方針として、「需給バランスではレート交渉をしない」、と いうものがあります。これは、当社の歴史から学んだ教訓です。顧客からの需要が強いとき(需要バブル)には、通常以上に高めのレート交渉を行いやすいこと は確かです。しかしながら、需要バブルに便乗したレート交渉を行うと、逆に需要が弱くなったときには、顧客から大きな反動を受けることになり、場合によっ ては、顧客からの取引停止という結果にもなります。当社は、「日本の製造業との共生と繁栄」によって成長していくことを社是としているわけですから、でき るだけ景気変動に左右されない信頼関係を構築していった方が、中長期的には、当社にとってもリターンが大きいということを過去の教訓から学んでいるわけで す。したがって、需給バランスではなく、常に「メイテックのエンジニアの市場価値(顧客にどれだけのサービスを提供し顧客満足を獲得しているか)」をベー スにレート交渉を行うことを基本としているわけです。ただし、当社のレート交渉になかなか応じていただけない顧客に、需要が強いときに思い切った価格交渉 を行うことは当然のことです。

こうした考え方は、一般にリスクマネージメントと呼ばれるものです。現代のように、社会経済全体が、不確定に、しかも急激に動くことを想定したときに は、自分自身の置かれた状況や行動に、どのようなリスクがあるかを常に考えた上で意思決定するということです。こうした考え方が、企業経営に求められるの は当然ですが、個人においても同様に考えた方がよさそうです。株価が上がるか下がるかが不確定であるように、当社にいただく市場からの受注も不確定で常に 変化します。当社の受注データベースに入っている受注は、半年ですべて入れ替わります。しかしながら、個々の受注は入れ替わっても、その入れ替わりの流れ を読むことにより、受注トレンドを読むことは可能です。当社の研修システムの内容が、受注トレンドをベースに1年ごとに更新されていくのも、受注トレンド に対応するリスクマネージメントでもあります。

市場は常に変化するからこそ、その流れを常に見続けることと、流れに対応していくための手段を講じることは、最低限実行しなければならないことです。た だし、リスクマネージメントとは、単にリスクを回避するだけでなく、リスクをとるための判断でもあります。社員の皆さん個々のキャリアを考える上でも、ど のリスクを回避し、どのリスクを果敢にとっていくのかというリスクマネージメントが、結果として、自分が納得のできるキャリアマネージメントになっていく はずです。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介

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