2007年8月 社長挨拶

2007年8月 (社員向け)月例社長メッセージ

プロフェッショナルとしての矜持を持つこと

1.はじめに
毎年8月は、夏期休暇にあわせて、社員の皆さんが自分のキャリアプランやライフプランに思いをはせていただけるようなテーマで書くことにしていますが、今 年は、キャリアプランやライフプランの大きな骨格となる職業というテーマからアプローチしてみたいと思います。

2.自分に対する「矜持」
私の好きなことばの一つに「矜持(きょうじ)」というものがあります。最近はあまり使われなくなったことばの一つですが、私自身は、自分が大きな決断をし なければならないときに、常にこのことばが頭の中に浮かんできます。辞書で引くと、「矜持:自分の能力を信じて持つ誇り」と出てきますが、私は、このこと ばをもう少し広い概念として、「自分が『自分』であるために、自分として絶対に譲れないもの」というような意味合いで理解しています。ここで言う『自分』 とは、そのときどきに応じて、いくつかのことばに置き換わります。つまり、『自分』=「一人の社会人」、「一人の職業人」、「組織の一員」、「家族の一 員」、「友人に対する自分」、「自分がありたいと思っている自分」などです。

あたりまえですが、私自身は経営者としての自分をいちばん強く意識しているので、「経営者としての矜持」というものを考える場合が必然的に多くなります。 たとえば、今、自分が発言しようとしていることは、どの社員に対しても、どのお客さまに対しても、どの株主に対しても、自分の経営者としての信念に基づい て発言しようとしていることであるかどうかを考えるわけです。そう考えながらも、毎日、風呂に入って湯船につかりながら、今日の自分は経営者としての矜持 を守ることができたかどうかを自問すると、まだまだ反省したり後悔したりする日が多く、日々新たの毎日です。

3.清々しい仕事
「一人の職業人としての矜持」は、「プロフェッショナルとしての矜持」と同義だと考えます。そして、それが、どんな職業であれ、プロフェッショナルとしての矜持を持った人の仕事は、他人に清々しさを感じさせます。

私はゴルフが好きで、月に一度ほどラウンドしますが、私のスコアは自分自身の調子もさることながら、キャディさんによって大きく左右されます。プロフェッ ショナルなキャディさんかどうかに影響されてしまうわけです。私見ですが、プロフェッショナルなキャディさんは、ボールの行方だけでなくプレーヤーをよく 見ています。そしてプレーヤーが心地よくプレイするためのサポートに徹しています。たとえば、プレーヤーによっては、一打ごとに距離や方向に助言を求める 人もいれば、そうでない人もいます。要はその人のプレイスタイルに合わせてサポートしないと、ある人にとっては有効な助言が、違う人にとっては雑音になっ てしまうわけです。そういうことを考えて、各プレーヤーのスタイルに合わせて最適なサポートをしようとする仕事ぶりを見ていると、その姿を清々しく感じ、 爽快な気持ちでプレイができ、結果としてよいスコアで上がることができるわけです。

反対に、自分のキャディとしての仕事のスタイルを押し付けてくる人もいます。そうした場合に、私は、そのスタイルが自分にとって好ましいかどうかではな く、そもそも自分のやり方を押し付けてくること自体に、プロフェッショナルとしての姿勢という点で疑問を感じてしまいます。そうすると、だんだんスコアが 崩れてくるというパターンに陥ってしまうわけですが、プレイの後は、ゴルフをやりながらもプロフェッショナルとしてのあり方を勉強させてもらったと思い、 自分の精神力の未熟さを反省しつつスコアカードをそっと廃棄します。つまり、私の理解では、プロフェッショナルとしての矜持を持ったキャディさんは、「自 分の仕事はプレーヤーに楽しくゴルフをしてもらうこと」だと認識しており、プロフェッショナルとしての矜持を持っていないキャディさんは、「自分の仕事は プレーヤーに同伴してプレイを遅滞させないこと」だと認識しているわけです。キャディさん自身にとっても、どちらの仕事が楽しいか、どちらの仕事が誇りを 持てるのかを、私は考えてしまうわけです。

また、最近腰痛が出るようになり、ときどき鍼治療を受けているのですが、その先生は、世間話をしながら、知らない間にこちらの生活態度などを聞き取り症状 の原因を把握し、実際に治療を行う際にも、症状の状況とその対処についてきちんと説明をされます。つまり、患者に対して説明責任を果たしつつ安心感を与え る治療をされているわけです。こうした姿勢に接すると、またまた、プロフェッショナルとしての矜持を感じるわけです。私は、職業を持っている人と接すると きに、その人が自分の職業に対して矜持を持っているかどうかによって、その人といっしょに仕事をしたいかどうかを判断しますが、そんなにレベルの高いこと を要求するわけではありません。自分の職業に矜持をもっていれば、どのような仕事も一生懸命できると思います。少し仕事ができるようになったからといって も、驕らずにいられるはずです。厳しい局面に立たされても、ひるまず、かといってへつらわないで、自分がやるべきだと判断したことをあたりまえのようにや ることができると考えています。そうした仕事は相手に清々しさを感じさせ、もっとその人といっしょに仕事がしたいと思わせるのではないでしょうか。

4.プロのエンジニアとしての矜持
私は、メイテックのエンジニアの皆さんたちと話していても、プロフェッショナルとしての矜持というものを感じることがよくあります。

「これはお客さまの機密だから、申し訳ないけど社長にも言えない」ということばの中には、「自分はプロのエンジニアとして顧客から信頼され、任されて仕事 をしているので、その信頼を壊すことはできない」というプロフェッショナルとしての矜持があります。

「2年前に契約終了となったA君にもう一度来てほしい」というお客さまからの要請からも、この仕事には絶対に彼が必要だとお客さまに感じさせたA君のプロフェッショナルとしての矜持を感じます。

「B君はメイテックのエンジニアだが、彼にメイテックからの新卒増員はすべて任せてあるから」というお客さまの声からは、コスト・品質・スピードという仕 事の三つの要件すべてにおいて、お客さまから信頼されているB君のプロフェッショナルとしての矜持を感じます。

「徹夜が続いても納期になんとか間に合って、お客さまのエンジニアといっしょに喜びあったことがうれしい」という声にも、プロフェッショナルとしての矜持を感じます。

「お客さまの部長から直接感謝されたときに、いちばん達成感を感じる」という声にも、プロフェッショナルとしての矜持を感じます。

「お客さまの社員以上に、自分たちで率先して服装のモラルを遵守しよう」と行動していただいている社員からも、プロフェッショナルとしての矜持を感じます。

カムバック制度で戻ってくる社員から、「やっぱり自分がやりたい仕事はエンジニアだということが、外に出てよくわかった。だからメイテックに戻ってきた」という声を聞くときにも、「自分はプロのエンジニアだ」という矜持を感じます。

数え上げればきりがありませんが、こうした6,000人のエンジニア一人ひとりが持つプロフェッショナルとしての矜持が、当社のDNAであり、業界 No.1ブランドの源泉でもあります。そして、そういうプロフェッショナルとしての矜持を共有する集団だからこそ、お互いに刺激しあいながら成長できる集 団になっているのだと思います。

5.プロとアマの違い
私のようなゴルフをしていては、絶対にプロゴルファーになれません。ゴルフの能力以前の問題として、キャディさんの対応や同伴プレーヤーのプレイに影響を 受けるようでは、プロフェッショナルとして通用しないということです。われわれのようなアマチュアプレーヤーでも、ときどきすばらしいショットを打てると きがあります。そのショットだけをとらえるとプロとアマチュアの差がないように思えますが、私は、プロとアマチュアの最大の違いは、再現性の高さだと考え ています。自分のコンディションがいいときに偶然打てたナイスショットではなく、どのような環境や精神状況においても、練習のときと同じようによいショッ トを打ち続ける能力、つまり再現性の高さが、プロフェッショナルの条件のひとつだと考えます。

ゴルフに限らず、仕事の場合も、何かの拍子に偶然うまくいってしまうことがあります。しかしながら、本当の実力がないとコンスタントによい結果は出せませ んし、コンスタントによい結果が出せなければ、プロとしての評価は得られません。偶然に得られたよい結果を、いかに必然にしていくか。ここに真のプロ フェッショナルになれるかどうかのボーダーがあるともいえます。そのボーダーを越えていくために必要なものが、プロフェッショナルとしての矜持であり、自 分の仕事に誇りを持つことだと考えます。

以上

メイテックグループCEO
代表取締役社長 西本甲介

ページTOPへ